書道と習字を【ショドテビキ】
墨

書道を行うにあたって、墨(墨汁、墨液)を無しにしては始まりません。ただし一口にすみといっても、固形墨や液体墨など、それぞれ特長にあわせた選び方もあります。墨のことを知ることで、思い通りの書にまた一歩近づくことでしょう。

墨のつくり方

墨は煤(すす)と動物の骨や皮のコラーゲンである膠(にかわ)を練り合わせ香料を混ぜてつくられます。膠を液状になるまで煮溶かし、松や菜種油などの原料は素焼きの蓋の下で燃やし、蓋に溜まった煤を採取し液状になった膠と煤を機械と手でよく練り合わせます。

香料を加え木型に入れ灰の中に埋めながら一週間〜1ヶ月乾燥させ、さらに室内で1ヶ月〜2ヶ月乾燥させ水洗いし艶が出るまで磨きます。さらに1週間ほど空気乾燥させてから包装します。固形墨づくりはこのように乾燥に長い時間が必要なため煤と膠を練り合わせてから3ヶ月以上かかります。

墨の種類

墨にもいくつかの種類があり、性質によってや、原料によってなど、分け方によってさまざまな分類にされることがあります。

唐墨(からすみ)和墨(わぼく)

墨には中国産の唐墨(からすみ)と日本産の和墨(わぼく)があります。唐墨(からすみ)はにかわの割合が多く硬いつくりで漢字を書くのに適しています。和墨(わぼく)は唐墨に比べにかわの割合が少ないためやわらかく仮名文字を書くのに適しています。

松煙墨と油煙墨

原料の種類により松を燃やした煤でつくる松煙墨と植物油を燃やした煤でつくる油煙墨があります。墨の粒子は大きいと青みがかった色になり、逆に粒子が細かいと茶色みがかった色になります。

松煙墨は粒子が不揃いで青みがかった黒色、油煙墨は粒子が細かく揃っていて艶があり茶色みがかった深みのある黒色です。油煙墨の原料にはごま油、菜種油、桐油、大豆油、鉱物などがあります。

墨の歴史

墨は中国で発祥し日本に伝わり奈良時代には日本各地でつくられていました。最初は松を燃やした松煙墨がつくられていましたが、鎌倉時代に品質のよい油煙墨、奈良墨がつくられ現在も日本の墨の90%が奈良で造られています。

江戸時代に入り油煙墨の原料がごま油から入手しやすい菜種油でつくられるようになるとさらに墨くりは盛んになりました。

墨の特徴

固形墨と液体墨のそれぞれの特徴をおさえることで、あなたの墨選びの幅もひろがるでしょう。

固形墨の特徴

固形墨は伸びがよく、磨り加減で色の濃淡、滲み、かすれ具合など表情豊かな表現ができます。墨の粘りは温度により変化します。膠は18度で固まるという特徴があるため18度より温度が下がるほど墨の粘りが増します。

寒い季節には硯を温め18度以上の水またはお湯を使用するようにするとよいでしょう。固形の墨には防腐剤が含まれていないためすった墨は保存がききませんが固形墨自体は長期の保存が可能です。

液体墨の特徴

液体墨は墨を磨る手間が省け均一の墨質を得ることができ保存がきくため大変便利ですが固形墨と比べると立体感がなく個性がない墨といえます。液体墨には膠の雑菌繁殖を防ぐために防腐剤が含まれているため保存がききます。

液体墨には膠を使用したものと合成糊剤を使用したものがあります。現在は液体墨も改良が進み品質のよいものが出ています。液体墨の保存期間は2年くらい、合成糊剤を含んだ液体墨は5年くらいです。

墨のお手入れ法

丘に水を少量入れ軽く力を入れすぎないよう注意しゆっくり磨り海におろします。丘から海におろすのは固形墨が水に浸される割合が高いためひび割れなど墨が傷むのを防ぐためです。水は海ではなく丘に入れて磨るよう注意しましょう。固形墨を使用した後はしっかり拭いたあとよく乾燥させ風通しの良い涼しい場所(10度〜18度)に保存しましょう。

腐敗した墨は硯や筆を傷めますので使用しないよう注意しましょう。

固形墨と液体墨を混ぜる時には液体墨の成分に注意が必要です。固形の墨はにかわで固めていますが、液体墨には合成糊剤が含まれたものもあります。にかわが含まれた液体墨であれば混ぜて使用してもよいでしょう。

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