書道と習字を【ショドテビキ】
書道,用語

書道用語集

書道用語の中には書道や習字に親しみが無くても私たちが日常的に使っている言葉と関係の深い用語もいくつかあります。なにげなく使っている言葉の語源を調べて見るのも意外とおもしろいことですよね。そんな興味深い用語やその他使われる用語について説明していきましょう。

「裏打ち」ってどういう意味?

事実や証拠によって物事が確実になること、または十分に信用されることなどをよく「○○に裏打ちされた」などと言いますが、この「裏打ち」とはもともと書道の言葉から来ているものです。

作品の折り目やしわを伸ばし保存するために裏に薄くて質の良い和紙を貼ることを裏打ちといい、裏打ちをすると丈夫になることから物事を補強することを表す言葉としても使用されているというわけです。

「折紙つき」の折紙って何?

折紙(おりがみ)と聞くと、折り鶴などの児童の遊びとしてのものが最初に思い浮かびますが、実はそうではありません。紙を真ん中から横に二つ折りにして、折り目を下にむけ右側から文字を綴り、折り目を下のまま裏返して続きを書く文書の形式のことを書道では「折紙」といっており、公式文書、手紙、目録、鑑定書に使われます。

つまり折り紙といえば主に鑑定書のことを指していて、「折紙つき」という言葉は品質に間違いがないことなどの意味で使われています。

連綿(れんめん)の意味とは?

歴史や伝統があり由緒正しい家柄や行事などを「連綿とつづく○○」という表現を行うことがあります。

意味としては絶え間なくずっとひとつづきとなっていることとなるのですが、書道の世界では連綿と言うと二文字以上の字を続けて書くことで、これはかなや草書の書写に多く用いられ、見た目にも綺麗なだけでなく文字のバランスを取るために重要な意味を担っています。

なお、書道には「意連(いれん)」という言葉もあり、これは文字と文字の間の線が実際離れていても気持ちは途切れずに繋げて書く事ことを言います。

「々」ってどう読む?

時々、様々、など同じ文字の繰り返しの場合に用いられる文字で、読み方は「ときどき」「さまざま」など前につく文字で変化しますが、「々」一字ではなんと読むのでしょうか?この文字は「踊り字(おどりじ)」と呼ばれるもので、用法は上記の通りですが、読み方としては「おなじ」や文字の形から俗的に「ノマ」「のま」などと呼ばれています(日本語変換ソフトでは「おなじ」「のま」で変換すると出てくることがあります)。

尚、上記の「々」は漢字を繰り返す場合で、ひらがなの場合では「ゝ」、カタカナの場合では「ヽ」という違いがあるのは知っていましたでしょうか?ちなみに、ひらがな、カタカナの場合、濁点をつける(「ゞ」・「ヾ」)こともあります。

その他の書道用語

そのほかに書道で用いられる言葉について、あいうえお順で解説していきます。

字 あざな

本名以外に呼ばれる通称、あだな。本名で呼ぶのは失礼にあたるとされ天皇や貴人に用いられました。文人や学者に多く使われています。また、本名、字以外の別名でペンネームのようなもの「雅号(がごう)」といい、書道では上級者になると師匠につけてもらう場合が多いようです。

葦手 あしで

字と絵を組み合わせたような文字。かなの書体のひとつと言われていますが、真偽のほどは定かではありません。

異体字 いたいじ

同じ文字でも形が違った文字。(例:杯と盃 梅と楳 書と昏 煙と烟 爾と尓)旧字体と新字体は異体字ではありません。

命毛 いのちげ

毛筆の一番先端部分で線に大きな影響を与え書の命とも言われる大切な部分です。

永字八法 えいじはっぽう

永の字の用筆を指します。永には側(点)・勒(横画)・ど(縦画)・てき(左へのハネ)・策(左から右上へ)・掠(右から左下への払い)・啄(右から左へ)・磔(左から右下への払い)の8つの点画が含まれている。

男手・女手 おとこで・おんなで

男手とは万葉仮名を楷書、行書で書いたかな書体の一種で別名真仮名ともいいます。女手とはひらがな、変体仮名のことをいいます。女手は万葉仮名を草書で書いた草かなを更に簡略化してできた文字です。

懐紙 かいし

詩や和歌、メモ紙など色々な場面で用いられ、懐に折りたたんで携帯する。

掛け軸 かけじく

書画を表装したもので床の間などに飾り鑑賞するものです。巻いて桐箱に入れ保存しますので額に比べるとコンパクトに収納できます。

渇筆 かっぴつ

筆に付けた墨の量が減りかすれた線のことをいいます。反対語は潤筆といいます。

向勢 こうせい

向かい合う2本の線をやわらかく外にふくらませるように書く事。ゆったりしたやわらかな感じの字形になります。

古筆 こひつ

おもに奈良時代から鎌倉時代にかけての仮名、和様漢字で書かれた優れた名筆を指す。

散らし書き ちらしがき

かな特有の書き方で文字と余白の美を追求し、行の高さや行間に変化をつけながら散らして書くこと。かな書道独特の特徴的な書き方で、平安時代には巧妙な散らし書きの作品が多い。

篆刻 てんこく

印材に文字を彫ることで主に篆書体を用いたもの。最初は篆書体を用いて印を彫ったことから篆刻と呼ばれました。(篆書体とは中国で秦時代以前に使用された最古の書体で、もっとも古い書体を大篆(だいてん)、秦の時代に使用された書体は小篆(しょうてん)といわれます。)現在では色々な書体で芸術性のある印を彫ったものを指します。また、木などに文字を刻することを刻字、または刻書、彫書といいます。

筆圧 ひつあつ

運筆の際に筆にかかる圧力のこと。筆に加えられる圧力によって線の強弱が表れます。

文房四宝 ぶんぼうしほう

書道に使用する道具で、筆、硯、墨、紙、四つのことをいいます。別名文房具四友ともいわれます。文房具の中でも特に大切なものとして尊重されました。

変体仮名 へんたいがな

1900年に公布された小学校令施行規則により平仮名は1音について1語と定められ、平仮名は48字となりました。以後、学校教育で使われなくなった平仮名の字体の総称です。現在では書道の世界や看板など限られたところで使用されています。異体仮名とも呼ばれます。

万葉仮名 まんようがな

漢字の音を日本語表記のために使用した文字をいいます。平仮名とは違い字の形は漢字です。万葉集で多く用いられた文字です。

名筆 めいひつ

古い時代の優れた書の筆跡のことをいいます。別名、名跡(めいせき)ともいいます。

落款 らっかん

書画の署名捺印のことで落成款識(らくせいかんし)の略です。記名の他、製作年月や干支、場所などを書き加えることもあります。署名の印を指していうこともあります。

臨書 りんしょ

主に古典などの手本を傍らに置きそれを見ながら書き学ぶこと、または書いた書のことをいいます。臨書には字形を学ぶことに重点をおく形臨、筆意を学ぶことに重点をおく意臨、手本を記憶して書く背臨があります。

和様 わよう

中国風の書法をあらわす唐様に相対する日本独自の書風のことで、平安時代中期から後期の作品について用いられることが多い。遣唐使の廃止にともない日本独自の国風文化が登場し、やわらかく優雅な曲線を帯びた書風が生まれました。

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